2015年12月27日日曜日

2つの“了” le

“了”は、中国語の象徴的な助詞です。

中国語には2種類の“了”があります。以下、《现代汉语八百词》(吕叔湘主编,商务印书馆)に基き簡潔に解説します。

一つ目の“了”(以下、“了1“)は、動詞の後において、主に動作の完了を表します。動詞の後に目的語があれば、“了1”は目的語の前に置きます。この“了1”には、文を完結させる力はありません。

二つ目の“了”(以下、“了2”)は、句末にあります。主に、ものごとに変化が起こる、あるいは変化しそうなことを認める時に使われます。そして、“了2”には文を完結させる力があります。つまり文を言い切りにする作用を持つ。動詞の後に目的語がある場合、“了2”は目的語の後ろに置きます。


我喝了茶了。

では、“喝”の直後にある“了”は、“了1”で、「飲む」という動作が完了していることを表していて、“茶”の直後にある“了2”は、「お茶を飲んだ」という動作が起こったという「変化」を端的に表し、文章を完結させています。

たとえば、この文に“了2”がないと(☓“我喝了茶”)、聞く人は「で?その後になんかあったの?それともそれだけ?」という疑問を持たないでいることは不可能です。なぜなら文章が終わっていることになっていないからです。本人は「お茶を飲んだ」と言ってるつもりでも、“了2”がないばかりに、収まりが悪くなってしまっています。

なので、目的語の後ろ、つまり文の最後に“了2”を付けて「言い切る」必要があります。または、“我喝了一杯茶“とすることも可能です。これでも言い切りになります。この場合、“喝了”と“一杯茶”(量詞が付いて「お茶」が限定されている)はお互い「釣り合っている」と感じられるからです。

中国語は、「限定」(“有界”)と「無限定」(“无界”)という概念に貫かれた言語だと言われます。文を言い切りにするということは、その文を限定させ、無限定の世界に区切りをつけることにほかなりません。それは“了2”だけではなく、様々な助詞や、量詞や形容詞によって無限定の世界を限定させるのです。話し手は、世界の一部を切り取り、何かを伝えたいのですから、無限定のまま伝えることは不自然なのです。

「限定」と「無限定」は共存しません。さっきの、☓“我喝了茶”で言えば、“喝了”は「飲む」という行為が完了したことを表していていて(飲もうとしているのでもなく、飲みたいのでもなく)、行為の特定の段階を示しています。なのでそれに合わせる形で、後ろの目的語も限定させることになります。だから“茶了“で言い切るとか、“一杯茶”で「一杯の」お茶であることを明示する。このようにして中国語の文章は完結します。



参考:沈家煊 2006 “有界”与“无界”, 《认知与汉语语法研究》,商务印书馆

2 件のコメント:

  1. 調べ物をしていたらココヘ漂着しました、中国語中途半端学習者&低偏差値の私にとって目からウロコ落ちまくり(何で必ず量詞付けなきゃならんのかとか)のブログです、あとニュアンスを重視して紹介されている点がとてもツボってます!最近更新はされていない様ですが全項目有難く拝読させて頂きます!

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    1. コメントありがとうございます!少しでも参考にしていただけたのなら大変光栄です。量詞って意外と大きな役割果たしているんですよね(本文中ではまちがって「数詞」って書いてたので急いで訂正します・・・あと元ネタとさせていただいている論文も文末に付け加えます)。かなり適当なブログですが、そうですね、たまには更新していきたいと思います。

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