中国語の漢字はいくつ覚えておけば充分か

2014年11月29日土曜日

常用漢字 中国語

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漢字がびっしりの中国語の文章を見て思うことでしょう。漢字ばかりだ!と…。

かつてある中国研究者が香港に留学していたとき、日々閲する中国語に対して「息切れする」と書いていたのを思い出します。日本語にはひらがなという「島」があって、息継ぎが適度に出来るとも。そのとおりだと思います。でも、簡単に言ってしまえるかどうかわかりませんが、慣れれば普通に読めます。肝心なのは、中国語の漢字を見て、すぐに音が出てくるかということ。慣れないうちは、日本語読みで読むわけですが、そうするとスピードが遅くなる。また、漢字をみてすらすら音が出てこないことは結構ストレスです。中国語を学んで3年くらいは、辞書なしではすらすら読めなかったように記憶しています。それがいつのまにか、大方の漢字を見るとすぐに音が出てくるようになります。

さて、その中国語の漢字は、一体何字あるのでしょうか。そしてぼくたちわたしたち学習者は一体何字覚えればなんとかなるのでしょうか。闇雲に覚えまくるよりも、まず、その量を把握するのが一歩目でしょう。

中国の歴代字典の漢字収録数を、《现代汉语》(高等教育出版社,2007年6月第4版)から引用します。

历代字书收字数目一览表 
东汉(121年)         许慎, 《说文解字》,9 353字
南朝·梁(534年)     顾野王,《玉篇》,16 917字(唐宋后改为 22 726)
宋(1008年)          陈彭年等,《广韵》,26 194字
明(1615年)          梅膺祚,《字汇》, 33 179字
清(1716年)          张玉书等,《康熙字典》,47 073字
1915年                 陆费逵等,《中华大字典》,48 000字
1968年                 该词典编委会,《中文大辞典》,49 905字
1990年                 徐中舒等,《汉语大字典》,54 678字
1994年                 冷玉龙等,《中华字海》,85 568字
黄廖本(2007)《现代汉语》,高等教育出版社 


字数を見ると、時代が下るにつれどんどん漢字の数は増えています。ただし、実際に使う漢字はこんなに多いわけありません。一般的に中国語の常用漢字は三、四千字だといわれます。常用漢字の研究、整備は、建国後翌年になる1950年から本格的にはじめられました。その後膨大な研究成果を基礎として、“国家语言文字工作委员会和国家教育委员会”が《现代汉语常用字表》を1988年に発布しました。ここには常用漢字2500字、サブ常用漢字1000字が収録されています。合計3500字。結構少ないものなんですね。ところが、この3500字で現代漢語の99.48%をカバーできてしまうのです(同書)。

ちなみに日本語の常用漢字は2136字です。そう考えると、あと千字くらい覚えて、とりあえず間に合う。もちろん一つ一つの漢字をあらためて中国語として覚える作業が必要です。

ちなみに、余華という大陸の作家がいます。かれは上海近郊の地方都市に生まれ育ち、普通話というものには距離を置いている、というか、親近感を持ち得ない、むしろ反撥しているところがあって、でも自分の物語を多くの人に読んでもらいため、自分の「母国語」とはいえない普通話で小説を書いています。なるべく常用漢字の範囲の3000字程度だけ使うようにして書いているので、莫言や他のちょっと重厚な文学者の文章に比べ、はるかに読みやすいです。中国語の小説にチャレンジするなら、余華を読んで、余暇を楽しみましょう!!

PS 
こういうのは非常に感覚的なものではあるのですが、《活着》と《许三观卖血记》を読み終えたら、自分の中国語のレベルが深いところ、根本的なところから底上げされたような感じになります。物語の力。

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